※本の内容上、多少汚い言葉、表現等が見受けられるかもしれませんが、至って真剣な内容ですので予めご了承ください。
Olá! Boa tarde!!
私たちの生活の中で、欠かすことのできないことといえば何が思いつきますか?
真っ先に思いつくのが、健康の三大要素ともいわれる、
「栄養(食事)」
「運動」
「休養(睡眠)」
ではないでしょうか。
しかし、それと同じくらい欠かすことのないことがあります。
それが、、、
排泄です。
私たちの体には、食事によって栄養を取り込む過程で出た老廃物や不要物を体外に排出することによって健康を保つ仕組みが備わっています。
また、この排泄がきちんと行われなかったことにより死に至ってしまったという事例も存在します。
これだけ、私たちの生活、最悪の場合、生死にも関わる重要なことであるのにも関わらず、排泄についてあまり詳しく知らないという方が多いのではないでしょうか。
というよりも、私自身もそうですが「何となく汚いことだし、触れたくない内容」という感覚の方が強いのではないかと思います。
ただ、前述したとおり、排泄は私たち人間が生きていく上で、切っても切れないことです。
加えて、新型コロナウイルス感染症の流行によって、公衆衛生の分野に関する知識や取り組みの重要性が高まっている現在だからこそ、
改めて、トイレや排泄について考えることが重要なのではないかと思ったので、今回この本を紹介します。
『うんちの行方-神舘和典/西川清史-』
タイトルだけ見るとなかなかストレートで衝撃的な本ですよね(笑)。
ただ、本の帯を見てみると、
「鉄道や船ではどう処理?」
「もしタワマン全戸で一斉に流したら?」
「たった5分で飲用水?」
といった非常に興味深いことが書かれています。
いやぁ、こう考えると改めて本の帯の重要を感じます。(笑)
出来るだけ、表現には注意して書いていますが、内容が内容なので、読みたくないという方はここで記事を閉じていただいて構いません。(笑)
それでも、未知の世界を知ってみたい!という好奇心旺盛な方はぜひ付いてきてください!
それでは行きましょう!!!
世界一のトイレ大国「日本」
さて、みなさんは日本が世界一のトイレ大国だということをご存知ですか?
日本のトイレの優れている点を挙げてみると、
- 水が流せる
- トイレットペーパーが流せる
- 温水洗浄便座(TOTOの「ウォシュレット」、LIXILの「シャワートイレ」など)
- 便器に汚れがつかないコーティング
- 自動で蓋が開く、水が流れる
などが挙げられます。
「ん?ウォシュレットとか自動洗浄とかは分かるけど、水が流せる、トイレットペーパーが流せるって当たり前じゃね?」
と思った方がいるかもしれませんが、実はこれだけでも世界的に見ればなかなか珍しく素晴らしい点でもあります。
実際に私も、ブラジル留学やフィリピン留学をしたり、南米一周バックパック旅をしたり、様々な国へ行きましたが、日本のトイレに慣れていたら世界のトイレはかなり衝撃的です、、、。
水が流せるトイレに関しては、普及してきているものの、トイレットペーパーは流せない所が多いのが現状です。(トイレットペーパーは便器横などに設置しているごみ箱に捨てます)
場合によっては、トイレットペーパーそのものがない所もあったりするので、旅の間は常にトイレットペーパーを持ち歩いたりしていました。
温水洗浄便座(ウォシュレットはTOTOの登録商標)に関しては、世界的シンガーソングライターであるマドンナが来日した際に非常に気に入り、自宅用に購入していった話や
ウィル・スミスやレオナルドディカプリオといった世界中の名立たる有名人たちが挙って購入した話が有名です。
このように、私たちが日常的に当たり前に利用しているトイレが世界最高のクォリティーであるということが分かります。
家庭用トイレのみならず、公共のトイレでこれだけの清潔さ、整備されている国はそれほど多くはありません。
また、日本のトイレは節水機能にも優れていますよね。日本ではそれほど感じること少ないかもしれませんが、アフリカの国々をはじめ、様々な国では水資源の不足が深刻な問題となっています。
水資源が豊富なアメリカや中国といった国でも、人口増加や工業化、地域によっては(アメリカの砂漠地帯や中国農村部など)水不足は深刻な問題です。
そのため、トイレを流すために水を使うなら、飲用水やその他の生活用水にしようした方が良いというのは自然な考えです。
そうした世界的な流れに対応するために、日本の各トイレメーカーは節水型トイレの開発を進めていきました。
実際の取り組みに関しては、ぜひ本書を一読していただいて頂きたいのですが、
具体的な数字としては、1920年代に販売された日本最初の水洗トイレでは、水洗一回に20ℓの水が必要でしたが、現在のTOTOの最新機種ではなんと、3.8ℓの水で流すことが出来るそうです。
数字だけだと分かりにくいかと思いますが、2ℓのペットボトル10本必要だったものが、2本以下になったと考えると相当少なくなったということが分かるかと思います。
ここまで来るまでに、開発者の方々のたゆまぬ努力があったことは言うまでもありませんね。
本の帯の疑問を解説!
さて、ここからは、冒頭でも触れた本の帯の疑問について少し紹介しようと思います。
さすがに、全てを紹介するのは難しく、何より本書を実際に読んで頂いた方がより理解できると思うので、ここでは一つ目の疑問、「鉄道や船ではどう処理?」について紹介します。
鉄道や船ではどう処理?
車両トイレの処理には以下の6つの方法があります。
- 開放式
- 粉砕式
- 貯留式
- 循環式
- 真空式
- バイオトイレ
この中でも、最も衝撃的なのが1.開放式です。
その名の通り、線路に垂れ流す方式です。現在では考えられない方式ですが、実は、今から20年以上前の2000年以前ではまだこの方式がとられていたというのがまた驚きです。
この記事を読まれている30代以上の方の中には、この方式の車両トイレを利用された方もいると思います。
開放式トイレは、国鉄が民営化されてJRになった、1987年ごろから減り始め、現在では完全に廃止されました。
現在では、5.真空式が主流となっていますが、現在に至るまで「黄害」といった問題など当時の国鉄職員の苦労は計り知れないものです。
それ以上に最近まで“垂れ流し”の方式をとっていたのが東京などで有名な屋形船です。
実は、全ての屋形船ではありませんが、一部の屋形船で2010年前後まで、東京湾に”垂れ流す”ことがあったそう。
今から約10年前と考えるとかなり衝撃的です。
屋形船の垂れ流しダメ 東京都、し尿排出規制を強化方針(朝日新聞digital)
この出来事に関して、著者は次のように述べています。
夜の帳が下りると、歩道やベンチで恋人たちが口づけを交わし、愛の言葉をささやき合うお台場。その目の前でロマンティックに輝くレインボーブリッジ。ゆりかもめも夜景のなか美しい光のラインを描いて走っている。その下の海にぷかぷかとウンチが浮かんでいたとは、恋人たちも知らなかっただろう。
出典:神舘和典 西川清史「うんちの行方」、p.225
まるで、小説の一文のような素晴らしい文章ですが、かなり衝撃的な内容ですよね。(笑)
しかし、こうした衝撃的なことがつい10年前まで実際に行われていたということを、しっかりと受け止める必要がありますし、公衆衛生、環境保全の観点からも目をそむけてはいけない出来事だと思います。
現在では、屋形船のトイレは汲み取り式になり、下水処理場できちんと処理されています。
まだまだ面白い内容盛り沢山!!!
本書には、この他にも、日本における歴史を紹介する“日本ウンチ今昔物語”や実際に筆者が下水処理に関する施設に訪れたり、職員へのインタビューなどをもとにした内容、そもそもウンチとは何かなど、普段なかなか知ることのできない、知りたいような、知りたくないような情報が盛り沢山です。(笑)
また、本の帯に書かれた残り2つの疑問(「もしタワマン全戸で一斉に流したら?」、「たった5分で飲用水?」)に関する答えについても、本書の中で解説されているのでもしよかったらご覧ください。
まとめ
今回は、「うんちの行方(神舘和典、西川清史)」をもとに、日本のトイレ事情について紹介しました。
トイレ、排泄は私たち人間にとってなくてはならないものの1つです。ただ、「汚い、触れたくない内容」というのも事実です。
ただ、これだけ具体的に、そしてストレートにこの内容について書かれているこの本はとても興味深く、勉強になること間違いなしです!!
ぜひ本書を手に取っていただき、日本のトイレの歴史、現状を知り、先人たちの苦労や努力を知っていただければと思います。
そして、まずは自宅のトイレ環境を整えることから始めてみてはいかがでしょうか。
最後に、かなりデリケートな内容でしたが最後まで読んでいただきありがとうございます。これでもいつも以上に表現に注意して書いたつもりです。
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